代表からのご挨拶

代表からのご挨拶 全国児童青年精神科医療施設協議会   代表  新井 卓

全国児童青年精神科医療施設協議会(以下全児協)は、我が国で唯一の、児童青年精神科の入院治療施設を有する医療機関で構成される団体です。

「全児協の歩み」に記載されているように、全児協(当時は全児研)は1971年に設立されました。私自身は第25回研修会の出雲大会から参加させていただいておりますが、当時の加盟施設数は正会員施設10施設、オブザーバー施設は7施設でむしろ、参加施設数は減少傾向にもあった時代でした。しかしその後時代を経て、平成31年3月1日現在で、正会員施設は31施設、オブザーバー施設は18施設と急激に増加しており、年1回の研修会の参加人数は500名以上となっています。

こうした加盟施設の増加、すなわち児童青年精神科病棟・病床を有する医療機関の増加には、複雑化・深刻化を増す子どものこころの問題に対する児童青年精神科医療へのニーズの増大、各自治体および医療機関における児童青年精神科医療体制整備の必要性に対する認識の高まり、児童・思春期精神科入院医療管理料の新設など、様々な要因が関与していると考えられます。

このように、児童精神科医療の中核的な役割を担う医療機関が増えていくこと自体は、地域医療の面からも、人材育成の面からも、とても喜ばしいことです。しかし、一方で忘れてはならないことは、少子化が叫ばれる一方で約3倍に膨れあがった受け皿に対して入院してくる子どもは同じように増えているということです。この事実は心を病む子どもが増えているという単純なことではないにしても、社会における児童思春期専門の入院施設の必要度は未だに満たされていない、ということは間違いないということです。施設数が増えていく中で多くの課題も見えてきます。今後は児童青年精神科医療の質が問われる時代になることは間違いありません。したがって、施設基準の遵守はもちろんのこと、良質な医療を提供するために、これまで以上に精進していくことが求められています。

全児協として以下のようなことに取り組んでいくこととして前代表が、<児童青年精神科の入院治療における質の向上><人材育成システム、研修機能の強化><児童青年精神科病棟整備の必要性についての啓発活動><関係機関との連携モデルの提示><人材確保・加盟施設間の相互交流の促進><関係団体との連携の強化>の6つの項目を掲げました。これらの項目はいずれも全児協として重要であり今後も推進していくことが求められていくと思われます。

その中でも<児童青年精神科の入院治療における質の向上>が全児協の中心的機能と思われますが、31施設およびオブザーバー施設がお互いの診療状況や機能を相互に知ることで自分たちの施設の機能の更なる向上を実現するために年1回の研修会や各機関の統計データの視覚化などに加えて、多職種が独自に企画する研修会などの支援もしていければと考えます。<人材育成システム、研修機能の強化>については専門医機構が進めるこどものこころの診療医の研修機関として求められる具体的な機能に各機関が応えていくことになるでしょう。<児童青年精神科病棟整備の必要性についての啓発活動>ではいまだに各都道府県に少なくとも1つは児童青年精神科専門病棟・専用病床を有する医療機関がある状況ではなく、現有の全児協加盟施設がモデルとなってその整備を後押ししていかなければならないでしょう。<関係機関との連携モデルの提示>についてですが、各機関が地域の児童青年期の診療体制の基幹施設となり、地域の関係機関との連携を進めている状況にあると思いますが、この機能を厚生労働省の進める「子どもの心の診療ネットワーク事業」ともその理念は共有されています。この事業に参加している全児協施設も多く、今後のさらなる協力体制が望まれます。<人材確保・加盟施設間の相互交流の促進>前代表任期中に開設された全児協ホームページへの職員募集の掲載は現在も有機的に機能しています。今後もさらに充実させていければと考えます。<関係団体との連携の強化>児童青年精神科医療の発展のためには、日本児童青年精神医学会をはじめとした関係団体との連携が欠かせません。今後も関係団体との連携を強化しながら、診療報酬改定や災害時の支援活動の役割分担、精神保健福祉法の見直しに向けての提言や情報提供など、様々な課題に取り組んでいきたいと考えています。

これまで以上に我が国の児童青年精神科医療の発展や、地域の子どもの精神保健ネットワークの構築に貢献していかなければならないと考えております。

みなさまのご理解とご協力をお願い申し上げます。